止まらない値上げラッシュへの対抗策としては、「申請すればもらえる公的なお金」の積極活用が大事だ。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢氏が解説する。 【表】家族のタイプ別 申請すれば「もらえるお金」「使える制度」
「新型コロナで困窮した世帯への支援制度『緊急小口資金』や『総合支援資金』などは今年9月末で終了しました。しかし、長引くコロナ禍や急激な物価高に対応するため、申請期間を延長した制度や新たにスタートした給付があります」
住民税非課税世帯に10万円を給付する「住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金」の申請は9月末で終了した。その代わりに、物価高騰に対応し、5万円を給付するのが電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金だ。
「原則として住民税非課税世帯を対象に一律5万円を給付する制度で、物価高騰分をカバーする目的で実施されます。該当する世帯だと自治体から案内の書類が届きますが、今年に入ってから収入が大きく減って住民税非課税相当となった場合でも対象となります」(風呂内氏、以下「」内同)
今年から急激に収入が下がった場合などは自分で自治体の窓口に申し出る必要がある。
コロナ禍で困窮した世帯が少額の特例貸付を受けられた「緊急小口資金」などに代わり、利用できるのが新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金だ。
「緊急小口資金や総合支援資金を借り終えた場合などに、単身世帯で月額6万円、2人世帯で月額8万円などが3か月間支給されます。生活保護に至る前に生活再建を目指す制度で、求職活動などの要件があります」
期限は今年末までで、返済不要となる。
休業手当の代わりになる
長引くコロナ禍などで仕事を失ってしまった場合は、職業訓練を受けながら生活支援を受けられる求職者支援訓練がある。この制度の対象者は、雇用保険に加入してきた会社員に限らない。
「フリーランスなど雇用保険未加入でも対象となり、月10万円の生活費を受け取りながら職業訓練を受けられます。収入が月8万円以下、世帯全体の収入が月40万円以下などの条件があるので、ハローワークで確認してみるといいでしょう」
現在は世帯収入の要件などが緩和されているが、そうした特例措置の期限は来年3月末までとなる。
会社の業績が下がるなどで休業を余儀なくされたうえに休業手当を十分に受けられなかった場合には、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金がある。
「本来は『雇用調整助成金』などを使って従業員の給料の6割は補償しないといけないのですが、会社がその対応をしないなら活用を検討してみるのも手です。自分で申請する必要がありますが、もとの給料の8割を上限として給付されます」
申請書類などを厚労省新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金担当に送付するか、オンラインで申請ができる。
家賃の支援制度もある。収入が減り、住まいを失いそうなら住居確保給付金の再支給の申請が検討に値するという。
「離職や廃業などで家賃を払えなくなった人を対象に、原則3か月分(延長が認められると最大9か月分)の家賃相当額の給付が受けられる制度。金額は東京23区で、単身世帯5万3700円、2人世帯6万4000円が上限。本来、『再支給』されない制度ですが、今年末までは緩和され再支給申請ができます」
申請は自治体に設置されている自立相談支援窓口などで行なう。
物価高に克つために、公的制度の活用も重要だ。